unshare
コマンドを用いると、プロセス内でのみ有効なマウントポイントを作成できます。内部的には unshare
システムコールが発行されます。
unshare
コマンド → man 1 unshare
unshare
システムコール → man 2 unshare
ディレクトリだけでなくファイルも mount できます。
touch ./file1.txt
touch ./file2.txt
別プロセスのターミナル2 にもマウントポイントが共有されます。
ターミナル1
$ sudo /bin/bash
# mount --bind ./file1.txt ./file2.txt
# mount | wc -l →ターミナル2(別プロセス)と同じ値
# umount ./file2.txt
ターミナル2
$ mount | wc -l →ターミナル1(別プロセス)と同じ値
別プロセスのターミナル2 にはマウントポイントが共有されません。
ターミナル1
$ sudo unshare -m /bin/bash
# mount --bind ./file1.txt ./file2.txt
# mount | wc -l →ターミナル2(別プロセス)の値 +1
# umount ./file2.txt
ターミナル2
$ mount | wc -l →ターミナル1(別プロセス)の値 -1
I/O ポート /dev/port
を利用する、run_myprog
というプログラムがあるとします。別ファイルを作成して、これを /dev/port
にマウントすることで、実際の I/O ポートとは別の状態をもとにプログラムを実行できます。これをホストPC には影響を与えずに行うためには unshare
が利用できます。
main.bash
#!/bin/bash
if [ "${AFTER_UNSHARED}" = "" ]; then
export AFTER_UNSHARED="1"
unshare -m $0 $@
exit $?
fi
if [ "${AFTER_UNSHARED}" = "1" ]; then
dd if=/dev/zero of=/dev/shm/myport bs=16K count=1 # shm; shared memory
chmod a+rw /dev/shm/myport
mount --bind /dev/shm/myport /dev/port
# ここで /dev/port を利用した何らかの処理を行います。
# ./run_myprog
file /dev/port
sleep 10
umount /dev/port
rm /dev/shm/myport
exit $?
fi
実行例
$ file /dev/port
/dev/port: character special (1/4)
$ chmod a+x ./main.bash
$ sudo ./main.bash
/dev/port: data ←/dev/port に単なるファイルがマウントされています。